第96回 海外交通政策資料研究会

第96回 海外交通政策資料研究会
2025年4月17日(木)14:00

【議題及び資料】

  1. アジア地域別鉄道プロジェクト関連情報
  2. Singapore Rail Test Centre
  3. Amtrak CEO Gardner leaves as operator pushes back against Musk’s privatisation drive
  4. ヨーロッパ高速鉄道オープンアクセス情報
  5. German coalition agreement includes rail reform and electrification
  6. Wenn “mittelmäßig” eine gute Nachricht ist

【議事概要】

  1. インド:JICAとインド政府は、デリーメトロネットワーク第4フェーズの追加回廊にかかる4,649億ルピーを含めた6つの事業を対象とする円借款貸付契約に調印した。チェンナイメトロでは、フェーズ2プロジェクト(116.1km)の12年間の運用保守(O&M)契約について、DB IO(ドイツ鉄道インターナショナルオペレーション)とデリーメトロレールが入札した。ミャンマー:中部で4月に大地震が発生。日本政府が国際援助隊・医療チームの派遣を発表。テント、水、浄水器、衛生用品等を提供予定。タイ:バンコク都心部プラトゥーナーム界隈の再開発を計画。「バンコクの新宿」がコンセプト。建設中のMRTオレンジライン(地下鉄)の開業に合わせた街の再生に乗り出す。また、SRT(タイ国鉄)は、JR東日本から譲渡された「キハ40」「キハ48」20両のうち6両を年内にバンコク郊外の路線に充当すると発表。カンボジア:プノンペンにおける都市鉄道(メトロ)導入に向けた予備調査を開始。データ収集や関係機関との協議を重ねている。ベトナム:ホーチミン市人民委員会が、今後10年間で全長355km・7本のメトロ路線を整備する計画を発表。これには402億USD(約6兆円)の投資が必要で、計画の進捗を確保するには年間40億USD(約6000億円)が必要となる。国家予算・地方予算、TOD都市開発による収益、債券発行による資金確保を計画。韓国:ポーランドKombudグループの子会社Rail-Mil Computersと韓国のSTraffic社が鉄道及び地下鉄の制御システム供給を目的とした戦略的提携関係を締結。台湾:日立製作所や東芝を中心とする企業連合「HTSC」が、台湾高速鉄路(台湾高鉄)と「新世代列車購入契約補足協定」を締結。新型列車は2027年後半の運行開始を予定。フルアクティブサスペンション等を装備し、授乳室の充実、車椅子席数増、車椅子固定装置の設置等も行う。中国:中国総合立体交通網総運営キロ数が600万kmを超え、「6軸7回廊8幹線」の90%が完成したと発表。高速鉄道48万営業キロ、高速道路19万営業キロはともに世界一だとしている。イラン:イラン国鉄(RAI)の旅客部門の子会社Raja旅客輸送会社は、テヘランと東部トルコのヴァンとの間で、国境を越える旅客輸送サービスを再開。週2往復の設定で、起終点間の所要時間は22時間。
  2. 2025年3月、シンガポールで鉄道試験センター(SRTC)が公式オープンした。敷地面積は約50ha。フェーズ1の高速試験線は2023年11月に完成しており、100km/h超の列車の試験を行うことができる。今回、フェーズ2として延長3.0kmと2.8kmの周回(ループ)線が加わり、計3つの試験線を有する試験センターとなった。これにより直線の高速線と総合的な試験を行う周回線、勾配を持ち長距離走行試験が可能な周回線を揃え、24時間運用が可能となっている。このセンターは省エネルギー性能の高い施設として認証を受けている。
  3. 2021年からアムトラックのCEOを務めていたガードナー氏がイーロン・マスク氏によるアムトラックの民営化推進に反発し辞職した。ロイター通信はトランプ政権から辞任を求められたと報じている。ガードナー氏はマスク氏によるアムトラック民営化への言及からわずか数週間でアムトラックを去ることとなった。アムトラックは、民営化構想に対し「白書」を公開して異議を唱えている。例えば、英国による鉄道の民営化と最近の再国有化の状況等を示し、さらに、過去の民営化の試みはアムトラックに良い結果をもたらさなかったとしている。なお、アムトラックは、ニューヨークとワシントンDCを結ぶ区間で2024年度の旅客数がコロナ前・2019年度比12%増になったとしている。
  4. イタリア:イタリア国鉄のFSグループがパリ~ロンドン間を結ぶ高速鉄道サービスを2029年に開始すると発表した。環境負荷が小さく航空輸送に代わる選択肢を提供するとともに、顧客を中心に考えたモビリティセクターとなることを目指す。トレニタリアのストリシュリオCEOは、「イタリア高速鉄道は成功モデルで、目標は欧州各国への拡大である」としている。さらに、土砂崩れによって運休になっていたミラノ~パリ間の毎日2回の運行を再開を発表した。現在トレニタリアはフランス国内3つの線区で輸送サービスを提供しており、特にレジャー客の国際輸送に強いが、ビジネス旅客にも重要な役割を果たすとしている。フランス:フランス国鉄(SNCF)のCEOは、パリ~ミラノ間のサービス再開にあたり、2024年現在は22%である国外での活動を2030年までに30%に引き上げる目標を掲げた。
  5. ドイツ連邦の連立政権は、DB(ドイツ鉄道)の改革と電化の促進、地域交通パスの継続を含む連立合意を行った。キリスト教民主同盟と社会民主党の連立政権は、国が100%保有するDBについて、鉄道改革、電化、地域交通パスの継続で合意した。DBは、インフラの維持・更新のために2034年までに追加で1,500億ユーロが必要だとしており、特に需要の多い線区に優先して配分する。デジタル化とETCS対応、電化のための財源についてはそれぞれ環境ファンド等を活用する。また、線路使用料の刷新も予定される。新政権は月58ユーロ(1月に49ユーロから値上げ)で地域公共交通が限度なく利用できる「Dチケット」を継続したいとしている。
  6. DBは2024年の「ネットワークの現状に関する報告」で、インフラの状況を自己評価した結果の平均値が「3.00」であったことを公表した。これは、各評価項目について「1:新しい ~ 5:不足がある」として評価したものの平均で、3.00はちょうど中間の状態である。2023年は3.03で、0.03ポイント改善した。DBインフラ企業のDB InfraGO代表は「200億ユーロの投資の結果、インフラの状態が悪化しているトレンドからの転換が図られた」としている。一方、貨物鉄道に関しては状況が悪化し、平均4.12(前年4.02)となった。およそ4,000ある信号所は約半数が「悪い」「不足がある」「制限がある」状況で、早急な維持もしくは更新が必要である。DBでは多くの設備が設置後100年以上経過しており、いまだに手作業での操作が必要となっている。

【出席者】
岩沙克次 遠藤俊太郎 川﨑孝夫 佐々木拓二 佐々木敏明 佐藤芳彦 菅建彦
曽我治夫 高津俊司 高橋八州男 西江勇二 東充男 前田喜代治

令和7年10月23日「講演会」

講演内容 :  「我が国の観光の現状と今後の展望」

講  師 : 国土交通省 観光庁 参与
       秡川 直也 氏

開 催 日  : 令和7年10月23日(木)

上記講演の録画映像は会員専用ページでご覧いただけます。
入会のご案内は こちら

令和7年10月2日「講演会」

講演内容 : 「新グループ経営ビジョン『勇翔2034』」

講  師 : 東日本旅客鉄道㈱
      代表取締役副社長 伊藤 敦子様

開 催 日  : 令和7年10月2日(木)

令和7年度「汎交通」第Ⅱ号

特集 昭和の鉄道

【特集座談会】
昭和の鉄道を語る
小田急電鉄 山木 利満/青山学院大学 高嶋 修一/鉄道総合技術研究所 小野田 滋
元交通協力会 菅 建彦/元東日本旅客鉄道 白川 保友

【特集寄稿】
昭和の駅舎建築~変遷と歴史的価値~/工学院大学 大内田 史郎
昭和を彩った鉄道車両/日本鉄道車輌工業会・鉄道友の会 佐伯 洋
写真で振り返る昭和の鉄道

運輸・交通界の近況
「アンパンマン列車」25周年を迎えて/四国旅客鉄道 三好 創太
鉄道電気部門における連携と両社の取り組み/東日本旅客鉄道 鶴貝 直也/西日本旅客鉄道 山本 竜太郎

〇〇と鉄道【第10回】
遊園地と鉄道/江戸川大学 大塚 良治
交差点
2030年代に向けた空港アクセス/鉄道ライター・都市交通史研究家 枝久保 達也
交通関係法人連絡協議会から
駅弁140周年に寄せて/日本鉄道構内営業中央会 松橋 信広
鉄道人歴史紀行【VOL.10】
雨宮敬次郎ゆかりの地を訪ねて【山梨県甲州市・長野県軽井沢町・静岡県熱海市】/作家 江宮 隆之

講演会等の報告/協会のうごき/クラブだより/今後の予定

令和7年9月12日「講演会」

講演内容 : 「戦後80年-2025年の世界と中国」

講  師 :東京女子大学 特別客員教授
      高原 明生 氏

開 催 日  : 令和7年9月12日(金)

上記講演の録画映像は会員専用ページでご覧いただけます。
入会のご案内は こちら

令和7年9月1日「交通研究委員会」

交通研究委員会が令和7年9月1日(月)に開催されました。

講 師: 株式会社カズレールウェイコンサルタント 代表取締役社長
     田中 一弘 氏

演 題:「一コンサルタントから見た日本の鉄道の未来」
    ~「鉄道技術の明日を語る会」の活動の紹介と個人的な意見~

令和7年7月25日「講演会」

講演内容 : 「イベント輸送半世紀・・・EXPO70からEXPO2025まで」

講  師 : 鉄道史学会会員
       岩成 政和 氏

開 催 日  : 令和7年7月25日(金)

令和7年度「汎交通」第Ⅰ号

就任のごあいさつ/一般社団法人日本交通協会 代表理事・会長 冨田哲郎

特集 災害に強い鉄道の実現に向けて

【特集鼎談】
災害に強い鉄道を目指して~2度の大震災から学んだこと~
JR東日本コンサルタンツ 石橋 忠良/元西日本旅客鉄道 池田 靖忠/日本ホテル 里見 雅行

【特集寄稿】
被災企業「阪神電気鉄道」としての役割と備え/阪神電気鉄道 大西 達也
交通のレジリエンス向上へ~総合的な災害対策の必要性/東北大学災害科学国際研究所 奥村 誠
豪雨による斜面災害の危険度評価を見据えたデジタルツインによる斜面の水分の推定/災害科学研究所 小田 和広
大地震発生直前の電離層異常発生について/京都大学 梅野 健

運輸・交通界の近況
東京メトロの新線プロジェクトについて/東京地下鉄 大塚 努・小澤 諒太・久保田 寛之
碓氷峠の交通史と鉄道遺産群の今後の展望/高崎経済大学 大島 登志彦

〇〇と鉄道【第9回】
推理小説と鉄道(国内編)/光文文化財団 山前 譲
交差点
トランプ関税とEVが問う自動車産業は何を売るのか/ジェイ・エム・アール生活総合研究所 松田 久一
交通関係法人連絡協議会から
鉄道少年団のあゆみ/交通道徳協会 丸山 祐樹
鉄道人歴史紀行【VOL.09】
仙石貢ゆかりの地を訪ねて【高知県高知市・福岡県北九州市など】/立教大学 老川 慶喜

講演会等の報告/協会のうごき/クラブだより/今後の予定

第95回 海外交通政策資料研究会

第95回 海外交通政策資料研究会
2025年2月13日(木)15:00

【議題及び資料】

  1. アジア地区プロジェクトの動向
  2. Prototype 450 km/h high speed trains unveiled in China
  3. JR East seeks foreign workers to fill skills gaps
  4. 英国における鉄道再国有化の現状と展望
  5. First British operators to return to public ownership
  6. Co-operatively owned Go-op approved to launch open access train services
  7. Transport Secretary sets out five priorities for Shadow Great British Railways in 2025
  8. << Nous sommes en train de recruter quarante personnes>>: a pres sa ligne Paris-Lyon, Trenitalia veut lancer des TGV Paris-Marseille avant l’ete
  9. CDU-Pläne zur Zerschlagung der Bahn
  10. „Null Effekt auf die Pünktlichkeit der Züge“ – Wissing warnt vor Zerschlagung der Bahn

【議事概要】

  1. インド:ムンバイ~アーメダバード高速鉄道(MAHSR)プロジェクトの信号通信システムの入札を実施。デリーを中心とする首都圏地域では地域高速輸送システム(RRTS)の通勤列車が13km延伸。タイ:タイと中国による共同事業の高速鉄道プロジェクト(251km)で、工事が遅延している契約3件の完工期限を最長2年延長。2017年に着工し2021年完工予定だったところ、開業見通しは2027年に。カンボジア:首相が国内鉄道網の改良を進め輸送効率を向上させるよう指示。首相は「高速鉄道のような巨大投資は必要ない。既存線の改良で充分」と述べ、現状からの発展に重点を置く方針。日本から11両の旅客車両を導入。ベトナム:NXベトナム有限会社がハノイとホーチミンを結ぶ南北鉄道サービスを拡充し混載サービスを開始。マレーシア:中断しているクアラルンプール~シンガポール間高速鉄道の実現に向けた対応を協議。シンガポール:Hitachi Rail と地下鉄運営会社(SMRT)が次世代グリーン通信ベース列車制御プロジェクトを実施。韓国:現代ロテムが台湾・桃園市の無人地下鉄車両を発表。グリーンラインは自動化レベル4(GoA4)を予定。ウズベキスタン:ウズベキスタン国鉄(UZ)が、タシュケント~サマルカンド間(約300km)の高速鉄道建設のF/S実施に韓国のコンソーシアムを指名。韓国輸出入銀行による経済開発協力基金を活用。中国:中国鉄道(CR)は、現在48,000kmに及ぶ高速鉄道総延長が2030年頃までに25%拡張され60,000kmになると予測。
  2. 中国中車(CRRC)とCRは、営業運転速度400km/h、最高速度450km/hの試作車CR450を公開。先頭形状が異なる2つの編成があり、いずれも4M4T。技術的な根拠を含めた詳細は明らかでない。
  3. JR東日本がJARTSを含めた複数のオーガナイザーの協力を得て外国人労働者を募集・育成。2月下旬よりインドネシア、ベトナムから25名をリクルートし、訓練・雇用のプログラムを開始する。訓練は白河市のJR東日本総合研修センターで行われる。
  4. 英国では、過去のフランチャイズ制度の限界と新型コロナウイルスによる経営破綻を背景に鉄道国有化が進められている。ネットワークレールは、今後グレートブリテン鉄道(GBR) への統合を通じて再編され、政府の適切な管理と民間の柔軟な運営のバランスが求められる。
  5. 英国運輸省(DfT)は、南西鉄道(SWR)がフランチャイズ事業の国有化を行う初の事例となることを発表。2025年5月25日のフランチャイズ契約満了をもって公有化される。このほか、英国各地で順次フランチャイズ契約の満了に伴い公有化が進められる。
  6. 英国で共同組合によるスタートアップ企業のGo-opが行うオープンアクセスの旅客列車サービス計画が認められた。必要な手続を経て、Go-opは遅くとも2026年12月までに運行を開始する必要がある。
  7. 英国運輸大臣は、鉄道における2025年の優先課題として、(1)鉄道運行事業者とネットワークレールの統合による重複の排除と管理の簡素化、(2)運行パフォーマンスの向上、(3)運賃体系とチケットの見直し、(4)イノベーションの推進、(5)鉄道の枠を超えた積極的な変化、の5つを掲げ、安定運行による信頼獲得といった基本的な取り組みが必要とした。
  8. トレニタリア社は、パリ・リヨン線に次いで、パリ・マルセイユ間のTGVを夏前から運行する構想を発表。メンテナンスの一部はパリにあるSNCFの施設を借り受けて行う。具体的な運行開始時期は不明。
  9. ドイツ連邦議会選挙を前に、保守系の主要政党であるキリスト教民主同盟(CDU)/キリスト教社会同盟(CSU)が、ドイツ鉄道(DB)グループ傘下にある鉄道インフラ部門と鉄道運行部門の分離を柱とするDB解体計画を発表。ベルリン中央駅に数百人の労働組合員が集結し「素人の日和見主義」と抗議。
  10. ドイツ自由民主党(FDP)及びCDU/CSUが主張するDB解体計画に対し、現職の連邦交通大臣(元FDP)が「定時運行率向上への効果は全くない」と警告。現在各地で進んでいる鉄道インフラの大規模改良計画だけでなく建設産業にも影響が及ぶと指摘。

【出席者】
岩沙克次 遠藤俊太郎 佐々木拓二 佐々木敏明 佐藤芳彦 菅建彦 曽我治夫 
西江勇二 前田喜代治

令和6年度「汎交通」第Ⅳ号

特集 地域活性化と鉄道

【特集鼎談】
鉄道による地域活性化の現状とこれから
関西大学 宇都宮浄人/四国旅客鉄道 四之宮和幸/宇都宮ライトレール 高井 徹

【特集寄稿】
東武グループの地域連携の取り組み/東武鉄道 榎本 貴夫
全国高校生地方鉄道交流会の活動と地域の活性化/全国高校生地方鉄道交流会 大溝 貫之
ローカル鉄道復活の鍵は「便利」と「楽しい」だ/鉄道ライター 杉山 淳一

運輸・交通界の近況
「大阪・関西万博」に向けたJR西日本グループの取り組み/西日本旅客鉄道 稲田 寛輝
「バス再興10年ビジョン」の策定/日本バス協会 稲田 浩二

〇〇と鉄道【第8回】
デザインと鉄道(車両編)/近畿車輛 南井 健治
交差点
生成AIで変わるビジネスの未来/野村総合研究所 塩崎 潤一
交通関係法人連絡協議会から
当研究所の概要と最近の取り組み/交通経済研究所 高橋 眞
鉄道人歴史紀行【VOL.08】
田中豊ゆかりの地を訪ねて【東京都千代田区・台東区】/上條・福島都市設計事務所・九州大学 福島 秀哉

講演会等の報告/協会のうごき/クラブだより/今後の予定